159条と163条(50条と53条の関係から読み解く)
場面は拒絶査定不服審判
159条 審判官による処理手続
163条 (前置審査)審査官による処理手続
前回の記事の続きで、159条、160条さらに場面想定をしていきたいと思います。
159条、163条のそれぞれ1項、2項は50条、53条の読替え準用なので、まず50条、53条の関係を理解することが大切。
条文の位置は50条(拒絶理由通知)が先に来ているが、第17条の2;補正をする場面➕第1項1号または第3号に揚げ場合(同項第1号に揚げる場合にあっては拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。);最後の拒絶理由通知の場面において、補正の要件を満たさない場合(新規事項を追加する等)は53条1項(補正却下)が優先適用される。
話を159条、163条に戻すと、どちらも
1項 53条(補正却下)の読替え準用
2項 50条(拒絶理由通知)の読替え準用
である。
さらに青本P494の「…補正却下の対象となるのは、拒絶査定不服審判請求時の補正、拒絶査定不服審判における第2回目以降の拒絶理由通知に対する補正、及び拒絶査定不服審判における拒絶理由通知と合わせて50条の2(分割出願において他の特許出願におてい通知済みの拒絶理由を再度通知する場合)の規定による通知がされた場合…」
そうなんですよね、159条、160条ともに17条の2第1項4号が何気に含まれていて、ということは拒絶査定不服審判請求時の補正は最後の拒絶理由通知と同様に扱う!!と書いてあるんですよね。
もう一度、拒絶査定不服審判で補正却下になるのは下記の三つの場面。(最後の拒絶理由通知の補正要件の制限がかかってくる。)
(注意!!拒絶査定不服審判前の補正に関してはそもそも最後の拒絶理由通知の補正制限はかからない。審査官も看過されたものだから、もう一度審判段階で補正のチャンスあげます。H27−8ーハ)
1.拒絶査定不服審判請求時の補正
2.拒絶査定不服審判における第2回目以降の拒絶理由通知に対する補正
→つまり、
⑴拒絶査定不服審判と同時に補正をした場合→前置審査でその補正が補正の要件は満たし(新規事項の追加等)補正却下にならなかった。かつ、査定と異なる拒絶理由①(進歩性等)が発見された→審査官は163条2項で拒絶理由が打たれる。→出願人はその応答として補正する。→審査官は先ほどの拒絶理由①が解消されていないため、同様の内容で拒絶理由②を打つ。→出願人は補正で応答する。→その補正が最後の(拒絶理由通知に対する)補正の要件違反になる場合は補正却下となる。
拒絶査定不服審判と同時に補正をした場合;ここの場面設定が難しい。おそらく、拒絶査定不服審判を請求するくらいだから、拒絶査定の根拠となる拒絶理由に対しああでもない、こうでもないと補正を出願人はかけてくる。特許庁としては、それもう査定で散々やったじゃないですか、という心証なんだとおもう。でも163条の2項の拒絶理由を打つときはちょっと違う、「あ、新しい、拒絶理由あったね〜。じゃあ、もう一度補正のチャンス二回あげるね〜。」って感じなのだろうな。
(2)拒絶査定不服審判と同時に補正をしなかった場合→審判官の合議体による審理
3.拒絶査定不服審判における拒絶理由通知と合わせて50条の2(分割出願において他の特許出願におてい通知済みの拒絶理由を再度通知する場合)
53条で補正却下の対象となる補正は、下記の補正要件違反のもの。
17条の2
3項 新規事項の追加
4項 発明の内容を大きく変更する補正(シフト補正)
5項 目的の制限(請求項の削除;特許請求の範囲の特定の減縮;誤記訂正;拒絶理由に示す事項についてする明瞭でない記載の釈明を目的とする補正)
6項 独立して特許を受けられない補正
青本P500
(前置審査は)実質上は審査官による再審査である。
過去問解いてみるっす。追記できたらします。