160条 拒絶査定不服審判における審判官による審査への差し戻し
青本P496
『査定を取り消した場合、審判官は事件についてみずから審決をする権限を有することはいうまでもないが、必ずしも全ての場合に特許すべきかどうかについてみずから審決する必要はなく、審査に差し戻しすることもできる。』
(審判官が査定を取り消し、差し戻し審決となるのは次のような場合)
『…その一は審判の請求が正当であり、拒絶査定を維持することができない場合、
その二は審査手続に重大な欠陥があり、そのままでは審判の基礎に用いることができない場合、
その三は査定の成立過程そのものに法令違反があり、査定の存在が疑問である場合である。』
ここで審判官の気持ちのイメージとしては
その1の場合→登録査定が妥当だな〜。
その2、その3の場合→審査官(あるいは出願人)テキトーにやってんな〜。
でしょうか。つまり、心証としては今回の拒査不服審判請求には意味がありこの拒絶査定は維持できない、登録査定に気持ちは傾いている一方、でも登録査定のための証拠が足りない。
そこで審判官がやることは(注意!審判長でない。まだ審決が熟していないからH28−19−1)
とりあえず拒絶査定は取り消す→でも登録査定にすべき理由も欠けていることから、登録査定も打たない→審査官に差し戻して審査させる。
青本P496
『…本条の重点はむしろ、二項である。すなわち、審判官が査定取り消しの理由とした判断が無視されたのでは、上級審としての審判の意義がなくなるので、二項によってそれを防止したのである。したがって、ある特許出願が他の特許出願の後願であるということを理由とする拒絶査定が審判で取り消された場合には、その出願の後願ではないと判断されたのであるから、審査官は重ねてその特定の出願の後願であるという理由で拒絶査定をすることはできない。』
すなわち、審判官の先ほどの気持ちには下記の矢印の気持ちが加わるイメージでしょうか。
とりあえず拒絶査定は取り消す→でも登録査定にすべき理由も欠けていることから、登録査定も打たない→審査官に差し戻して審査させる(←基本的には登録査定に必要な根拠を出してね。新たな拒絶理由は発見しない限りは。)
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